実務ガイド一覧

自家用電気工作物の点検記録の残し方|月次・年次で残すことと保存

更新日 2026-09-08(公開日 2026-08-22)

自家用電気工作物の保安管理では、点検の内容を記録として残すことが求められます。記録は設置者に報告するためのものであると同時に、後から保安の状況を確かめる材料になります。ここでは、月次点検と年次点検で何を残すか、どう保存するかを実務の視点で整理します。

記録に残す基本の内容

点検記録に何を書くかは、保安規程と、設置者との委託契約の内容によって決まります。ただし、実務で共通して残しておきたい項目はおおむね決まっています。

重要なのは、測定した値だけでなく「前回からどう変わったか」が分かる形にしておくことです。絶縁抵抗のように、単発の値では判断できず、推移で見て初めて異常の兆しが分かるものがあります。

点検記録に残す内容の図。事業場の情報、点検の年月日と担当者、外観の点検結果、測定値、前回の指摘への対応状況、設置者へ伝えた内容と依頼した措置の6つ。
  • 事業場の名称と所在地、受電電圧、設備の構成
  • 点検を行った年月日と、担当した者の氏名
  • 外観の点検結果(変色、損傷、異音、異臭、油漏れの有無など)
  • 測定値(絶縁抵抗、負荷電流、電圧など。測定できなかった場合はその理由)
  • 前回の点検で指摘した事項に対する対応の状況
  • 設置者へ伝えた内容と、依頼した措置
  • 次回の点検の予定

月次点検と年次点検で残すものの違い

月次点検は、運転を止めずに行う外観の確認と測定が中心になります。日常的な変化を捉えることが目的なので、記録も前回との比較がしやすい形が向きます。

年次点検は、設備を停止して行う点検が中心です。停電を伴うため設置者との調整が必要で、点検の範囲も広くなります。経済産業省の内規では、年次点検は一年に一回以上とされ、一定の要件を満たす機器については停電を伴う点検を三年に一回とすることができるとされています。

適用の可否は個別の設備の状況によるため、判断は選任された電気主任技術者または委託先の電気管理技術者が行います。具体的な取り扱いは所轄の産業保安監督部にご確認ください。

記録が後から必要になる場面

記録は、日常では設置者への報告のために使われますが、それ以外にも必要になる場面があります。

とくに事故が起きたときは、直前の点検で何を確認し、何を指摘していたかが問われます。指摘していたのに対応されなかったのか、そもそも気づけなかったのかで、その後の話が大きく変わります。

  • 事故や停電が起きたときの経緯の確認
  • 設置者が変わるとき(建物の売買、テナントの入れ替え)の引き継ぎ
  • 外部委託の契約を更新するときの実施状況の説明
  • 設備を更新するときの判断材料(劣化の推移)

記録作成の負担を減らす

事業場の数が増えると、現場で書いた記録を事務所に持ち帰って清書する作業が積み上がります。この転記の時間は、点検そのものの時間に匹敵することもあります。

AXpress電気保安では、現場で記入した記録票をスマートフォンで撮影すると、AIが点検項目の下書きを作ります。空欄は空欄のまま残し、読み取れない値を推測で埋めることはしません。

下書きを確認して内容を確定するのは、選任された電気主任技術者または委託先の電気管理技術者です。本サービスは記録の作成を支援するもので、保安の監督や点検の判断を代わりに行うものではありません。

よくある質問

Q. 点検記録に決まった様式はありますか?
A. 全国共通の一枚があるわけではなく、保安規程と設置者との委託契約の内容によります。所轄の産業保安監督部が標準的な点検項目を示している場合があるため、あわせてご確認ください。
Q. 測定できなかった項目はどう書けばよいですか?
A. 空欄のままにせず、測定できなかった理由を記載しておくことをおすすめします。後から状況を確かめるときに、記載が無いと「行っていない」のか「行えなかった」のかが分かりません。
Q. 年次点検は必ず停電させる必要がありますか?
A. 一定の要件を満たす機器については、停電を伴う点検を三年に一回とすることができるとされています。適用の可否は個別の設備によるため、所轄の産業保安監督部にご確認ください。
現場のスマートフォンから点検記録の下書きを作成——AXpress電気保安を見る

※ 本記事は一般的な情報提供を目的としています。電気事業法にもとづく保安の監督、点検の実施およびその結果の確定は、選任された電気主任技術者または委託先の電気管理技術者が行うものです。制度・様式は改正される場合があるため、必ず公式情報でご確認ください。